最近テレビや身の回りでも、よく耳にする「終活」
終活とは人生の終わりのための活動のことです。
具体的には自分が亡くなった際の葬儀やお墓の取り決め、遺言の準備、財産相続、遺産整理などを生前に行うことを言います。
しかし、「終活」という言葉自体は知られるようになっていても、実践している人はまだまだ少ないのが現状です。
終活は本人が一人でするものではなく、家族みんなで話し合いながらするものです。
私の周りでもつい先日、生前贈与の話で親と対立するほどもめたごたごた話がありました。
デリケートな話なのでうまく進めないと、後々困ることになりますよね。
なので今回は終活しない親御さんの理由とそこから見た話の切り出し方、さらに親に聞いておくことと話し合っておくべき事項を解説します。
さらに、実際に終活を行った方の体験談もご紹介しておきますので、参考にしてくださいね。
親が終活をしない理由は?
親御さんが自ら終活をしない理由は色々と考えられます。
- 自分はまだ終活をするような年齢じゃないと思っている
- 自分の死を考えるのが怖い
- 遺産整理とかは自分がいなくなったあとに好きにやってほしい
人によって他にも理由が考えられると思いますが、大きく分けるとこんな感じになるでしょう。
- 自分はまだ終活をするような年齢じゃないと思っている
やはりこの理由が一番多いかもしれませんね。
また、この理由のせいで親御さんを怒らせてしまうから、子ども側も終活を勧められないのだと思います。
人はいつか死ぬものだとわかっていても、誰もが自分の死はまだまだ先だと考えてしまうものですもんね。
特にこれまで何の病気にもならず健康に過ごせている人こそ、今の自分に終活の必要なんてないと思っているでしょう。
- 自分の死を考えるのが怖い
これは当たり前ですよね。
日常で自分の死について考えている人なんているでしょうか。
特に周りのお友達が亡くなったとか、自分と同世代の人が亡くなるのを知ってしまったら、さらに死への恐怖が増してしまうことも。
身の回りの人の死がきっかけで終活を始める人もいますが、逆に現実から目を背けたくなる人も結構多いのです。
- 遺産整理とかは自分がいなくなったあとに好きにやってほしい
こういう人は財産相続とか遺産整理とか、諸々の手続きが面倒なだけでなく、細かいことを考えることが面倒なんだと思います。
このタイプの方はだいたい「葬式も豪華でなくていいから」「なんでもいいから好きにやってくれ」と言いがちです・・・
でも、子どもにしたらそれが一番困りますよね。
こういう場合は「希望を教えておいてもらえたら、悲しみの中でも最後の親孝行として心穏やかに進められる」と親御さん正直な気持ちを伝えてみましょう。
それでも乗り気じゃなかったら、手続きなど面倒なことは子どもが率先して準備してあげるという形で進めるのが得策です。
これはもちろん、親御さんにキチンと一つずつ確認しながらですよ。
役所や関係機関、終活セミナーなど、その分野の専門の方に相談しながら進めていくとアドバイスも受けられるので良いですよ。
親に終活してもらうための話の切り出し方
さて、そんな様々な理由を抱えた親御さんに終活をどう切り出したらいいのでしょう。
難しいですよね。
まず、一番やってはいけないのは、いきなり終活を勧めたり、エンディングノートを渡したりすることです。
これは先ほどの1番目の理由を持つ親御さんには逆効果です。
「もう私が死ぬということか!」と怒り出してしまう可能性が高いです。
私の周りで起きたごたごたの原因もまさにこのパターンでした。
わたしのいとこがおばさんに生前贈与をしてくれるように頼んだら、めちゃくちゃ怒りだして話もしてくれなくなった、というケースがつい先日あったばかりです。
デリケートな話なので深く考えずにうかつに話を進めると、親の自尊心を傷つけてうまくいく話もこじれて台無しになってしまいます。
我が家に愚痴を言いに来たおばさんが「親しき中にも礼儀ありだ」とぷんぷんおこっているのを見て、確かに一理あると感じましたし。
また、エンディングノートは自らの意思ですすんで書くものですから、何も相談もされていあないのに子供の方から突然わたすのはあまりよろしくないですね。
特に2番目の理由のようなまだ“死”を受け入れられていない親御さんに、エンディングノートを書いてみたら?という提案はハードルが高すぎます。
そこで、1番近道で有効な手段は、日常会話にそれとな~く終活の話題を入れることです。
例えばテレビの芸能人の訃報があり、お別れ会など映像がテレビで流れたら「これって祭壇に飾っていいんだね~」「へぇ、遺影は帽子かぶっててもいいんだ」などと呟いてみると、何か返答があるかもしれません。
もしかしたら、そこから「こんな葬儀をしてほしい」といった要望が聞けるかもしれませんしね。
また、会社の人の葬儀に出席した際に親御さん族や関係者の苦労話などを聞いてそれを家に帰って伝えたりしてもいいですね。
例えば、苦労したことが葬儀についてだとしたら「○○さんがこんなことで困ってたんだけど、うちはどうしたらいいのか」「うちの宗派とか、いつもどこのお寺さんを呼んでいるのか」などを聞いてみてはどうでしょうか?
一緒に終活の特集などの番組を観るのもいいと思います。
とにかく、普段から親ときちんと会話しておくことが大事だということですね。
もし、遠方にいてなかなか会話する時間が持てないと言う場合なら、法事やお盆などの里帰りで家のことを手伝いながら「これからこういう家のことを教えてほしい」と切り出してみてはいかがでしょうか。
このように一歩話を切り出せたら、あとは親御さんのペースに合わせながら、一緒に終活を進めていきましょう。
2番目の理由の死を考えるのが怖いと考えている親御さんには、まずその気持ちを受け止めてあげて、終活は自分の死を考えるだけではなく「自分の人生を振り返って、今を生きることを考えることでもある」と伝えてみてあげてください。
一人で悶々と自分の死について考えるのは難しいものですが、寄り添ってくれる相手がいるとむずかしさも薄まるものです。
ましてや自分の子供が気持ちに寄り添ってくれることを嫌がる親はいません。
親が亡くなったあと自分が困らないためという考えだはなく、親孝行のつもりで感謝の気持ちを伝えるスタンスで話をすればきっとうまく話もすすむと思いますよ。
終活で親に聞いておくこと チェックリスト
親御さんが終活を行うことを決めたら、いよいよ準備を始めていきましょう。
ここからは親が亡くなる前に確認しておかなければいけない事項を挙げていきます。
- 葬儀のこと
先ほどから何度か話題に出ていますが、どんな葬儀にしてもらいたいか事前に聞いておきましょう。
今は葬儀会社でも定期的に相談を受け付けていますから、お近くの葬儀屋や複数の葬儀屋に見積もりを取ってみましょう。
この葬儀の話のときに親御さんの交友関係をまとめておくのも忘れずに。
誰に知らせるか、誰を葬儀に呼ぶのかは本人にしかわかりません。
事前にリストアップしておきましょう。
- お墓のこと
お墓の場所はもちろんのこと、先祖代々受け継いでいるそのお墓に親御さんが入りたいのかも聞いておきましょう。
特に今の時代、お母さまはご主人の家のお墓と一緒に入りたくないなんてこともありますからね・・・
- 法定相続人の確認
法定相続とは民法で定められた相続人のことです。
相続人が誰か知っておかないと、親御さんが亡くなったあとに発生する事後処理などがスムーズに進みません。
家や土地の権利の所在も確認しておきましょう。
- 金融機関の口座の確認
通帳や印鑑などの場所を確認しておくことはもちろんのこと、複数の口座を持っている場合は整理しておきましょう。
- 介護のこと・終末医療について
介護の情報を集めておくのと、もし介護を受けることになったらどんな内容のサービスを受けたいかを聞いておきましょう。
終末医療についても病名や余命の告知はしてほしいのか、延命治療は行うのか、最期はどこで看取ってほしいかなどを話し合うのも大切です。
こういったことは、なかなか子どもは決められませんからね・・・
- 遺言を残してもらう
ここでエンディングノートの出番ですね。
財産の有無にかかわらず、親族が相続紛争にならないために遺言は必要です。
口頭で伝えるのではなく、きちんと文書で残しましょう。
エンディングノートを用いながら、法的効力のある遺言公正証書を作成しましょう。
- 生前整理
葬儀後に子どもが苦労するのは遺品整理です。
業者に依頼するのもお金がかかります。
あらかじめ、親御さんと一緒に整理しておきましょう。
あとは親御さんの地域での役割や法事での取り決めなども聞いておきましょう。
これは先ほどの切り出し方のところで話したように、手伝うなどして役割を受け継ぐ意思を伝えましょう。
また、最近ではスマホなどのデジタル遺品でトラブルになることがあります。
インターネットバンキングや登録しているサービスなどを確認しておきましょう。
【終活をした人の体験談】
最後に、ご本人が終活を決めたきっかけを中心に体験談をご紹介しておきます。
どんなことがきっかけになって終活をしようと思ったかの参考にどうぞ。
- 私が身の回りを片付けておかなかったために、残された家族が苦労したり揉めたりするのは嫌でした。税金や法律に詳しい知り合いはいなかったんですが、ネットで調べたら電話相談ができるところがあって助かりました。
- 持病が悪化したのをきっかけに終活の準備をしようと思いました。葬儀は通夜、火葬、四十九日を一度に済ませる一日葬を希望し、家族は「喪主が葬儀は簡単に済ませるなんて言えないから助かった」と話していました。
- 子どもや親戚は遠方にいるので、永代供養墓を用意することに決めました。お墓の引っ越しに今のお寺に併願供養のお布施を払う必要があるとわかりました。無料相談では聞きづらいお金の相談にも乗ってもらえてよかったです。
- 趣味のカメラを価値のわかる人に預けたいので生前整理を決めました。複数のカメラを査定してもらったり、形見にするものや預けたいところなどをエンディングノートに記しました。体調を崩してから慌てて準備をしたくないですからね。
【まとめ】
親が終活しない理由から話の切り出し方、親御さんと話し合っておくべき事項、終活を行った方の実際の体験談のご紹介でした。
終活はご本人だけではなく、家族で話し合って行うものです。
また、亡くなったあとのことだけを考える暗い作業でもありません。
今を楽しく生きるために行うことでもあります。
くれぐれも私のいとこのように いきなり
「死んだら困るのは、私たち子どもの方なんだから」なんて言って親を怒らせてしまわないよう、うまく話を進めましょうね。
ご家族で話し合ってすすめるのが1番の近道ですので、うまく話を切り出して少しずつでもすすめていけるようお互い頑張りましょうね。